Nature ハイライト
大気化学:積層が乱れてできた氷
Nature 551, 7679
水の凝固は地球の気候に極めて重要であり、気象や気候の正確な予報は氷核生成速度の確実な予測に懸かっている。そうした予測は、初期に形成される氷の微結晶の構造が熱力学的に安定な六方晶氷の構造に一致すると仮定とする古典的核生成理論に基づいていることが多い。今回L Lupiたちは、単純な水モデルを用いてシミュレーションとエネルギー計算を行った結果を報告し、形成されつつある微結晶では、六方晶氷よりも積層不整のある氷の方が安定であり、氷核生成速度は古典的核生成理論による予測よりも3桁以上速いことを示している。この影響は、雲モデルにおいて、また実験室条件で測定した氷核生成速度を解釈してその速度を雲において重要な温度まで外挿する際に、考慮する必要がある。
2017年11月9日号の Nature ハイライト
生態学:森林生物多様性を脅かすエッジ効果
神経科学:老化のシグナル
構造生物学:転写開始前複合体中のTFIIH
天文学:非常に珍しい超新星
材料科学:ひずみを取り込むナノ双晶銅
大気化学:積層が乱れてできた氷
進化学:言語の進化を調べる
神経科学:神経精神医学に関する遺伝的手掛かり
海洋科学:海洋の微量栄養素を加減する
がん:抵抗勢力の溜まり場