Nature ハイライト
パーキンソン病:PINK1の構造
Nature 552, 7683
キナーゼであるPINK1は、主に以下の2つの理由によってよく知られている。まず生物レベルでは、PINK1の変異は常染色体劣性(潜性)若年性パーキンソン病(AR-JP)と結び付けられている。また細胞レベルでは、PINK1はユビキチンと、ユビキチンの結合相手である酵素パーキンのユビキチン様ドメインの両方をリン酸化してマイトファジーを誘導する。マイトファジーは、機能不全となったミトコンドリアを細胞から取り除く過程である。D Komanderたちは今回、コロモジラミのPINK1とユビキチンが作る複合体の構造を、ナノボディを基盤とする安定化手法を使って初めて明らかにした。この構造から、PINK1とユビキチンの相互作用、従ってPINK1の作用機構に加えて、AR-JPに関連した変異についても分子レベルでの手掛かりが得られた。このような変異のいくつかはユビキチンの結合を破壊するものである。
2017年12月7日号の Nature ハイライト
パーキンソン病:PINK1の構造
分子生物学:抗がん性tRNA断片
ナノテクノロジー:自己形成するナノ構造体
ナノテクノロジー:DNA折り紙を設計する
ナノテクノロジー:DNA折り紙を大量に作る
惑星科学:火星の粘土鉱物を作った蒸気
古生物学:「帽子」から絶滅リスクを予測する
免疫学:マラリア原虫の免疫逃避
がん免疫療法:チェックポイント因子はリンパ腫を抑制する
分子生物学:METTL3は腫瘍増殖を助ける