Nature ハイライト
分子生物学:METTL3は腫瘍増殖を助ける
Nature 552, 7683
N6-メチルアデノシン(m6A)は、コーディングRNAとノンコーディングRNAの両方で見られるRNA修飾であり、METTL3–METTL14メチルトランスフェラーゼ複合体により触媒され、スプライシングや翻訳、分解などRNA代謝のさまざまな局面に影響を及ぼす。今回T KouzaridesとG Vassiliouたちは、CRISPR–Cas9による致死性スクリーニングを行い、METTL3が急性骨髄性白血病(AML)細胞の増殖に必須の遺伝子であることを突き止めた。METTL3はクロマチンに結合し、AMLに必要とされる活性な遺伝子のプロモーターに誘導される。これらの遺伝子のプロモーターで、METTL3はそのmRNA転写産物のコーディング領域内のm6A修飾を触媒し、停止しているリボソームを解放して、その翻訳を進める。以上の結果は、METTL3がAMLで発がん性の役割を持っており、治療標的候補となることを示している。
2017年12月7日号の Nature ハイライト
パーキンソン病:PINK1の構造
分子生物学:抗がん性tRNA断片
ナノテクノロジー:自己形成するナノ構造体
ナノテクノロジー:DNA折り紙を設計する
ナノテクノロジー:DNA折り紙を大量に作る
惑星科学:火星の粘土鉱物を作った蒸気
古生物学:「帽子」から絶滅リスクを予測する
免疫学:マラリア原虫の免疫逃避
がん免疫療法:チェックポイント因子はリンパ腫を抑制する
分子生物学:METTL3は腫瘍増殖を助ける