Nature ハイライト
分子生物学:抗がん性tRNA断片
Nature 552, 7683
転移RNA(tRNA)由来の低分子RNA断片の機能的役割はよく分かっていないが、さまざまな細胞過程に何らかの役割を果たしていることを示す証拠が増えている。今回M Kayたちは、ロイシンtRNAの3′末端に由来する22ヌクレオチド断片が、翻訳を調節することを明らかにしている。この断片はリボソームタンパク質のmRNAに結合して、その発現を上昇させる。ヒトの培養細胞でこの結合を抑制すると、アポトーシスが起こる。アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてこのtRNA断片レベルを低下させると、マウスの肝臓腫瘍の増殖が遅くなる。このtRNA断片の発現を低下させる技術は、がんの治療に利用できるかもしれない。
2017年12月7日号の Nature ハイライト
パーキンソン病:PINK1の構造
分子生物学:抗がん性tRNA断片
ナノテクノロジー:自己形成するナノ構造体
ナノテクノロジー:DNA折り紙を設計する
ナノテクノロジー:DNA折り紙を大量に作る
惑星科学:火星の粘土鉱物を作った蒸気
古生物学:「帽子」から絶滅リスクを予測する
免疫学:マラリア原虫の免疫逃避
がん免疫療法:チェックポイント因子はリンパ腫を抑制する
分子生物学:METTL3は腫瘍増殖を助ける