Nature ハイライト
構造生物学:2分子のダイニンで移動のペースを設定する
Nature 554, 7691
真核細胞では、細胞質中に存在するタンパク質のダイニン1(ダイニン)が、積み荷を微小管(細胞骨格の管状構成因子)のマイナス端方向へと動かすための主要な輸送体であって、細胞内での物質の移動を、他のモータータンパク質と共に行っている。ダイニンは、その補因子であるダイナクチンとBICD2、BICDR1やHOOK3などの積み荷アダプターの両方に結合することで、非常に長い距離を前進するモータータンパク質となる。BICD2は1分子のダイニンを1分子のダイナクチンに結合することが多い。これとは対照的に、BICDR1とHOOK3は2分子のダイニンからなる複合体に結合し、これらのダイニンはダイナクチンの足場を介して集合することを、今回A Carterたちがクライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて明らかにした。さらに行われた1分子研究により、複合体のこのような配置によってモーター複合体の力と速度の両方が増大することも示された。
2018年2月8日号の Nature ハイライト
進化学:動物の軍拡競走における強さと敏捷さ
がん:HER阻害のバスケット試験
生化学:塩基変化の基盤
構造生物学:2分子のダイニンで移動のペースを設定する
天文学:合体する星からの広角アウトフローが電波で明らかになった
材料科学:木材を処理して強度を高める
気候科学:燃料補助金の廃止がもたらす恩恵は限定的
神経科学:ドーパミンニューロンが次の運動を生み出す仕組み
アルツハイマー病:脳内のアミロイドβ病変を予測する血漿マーカー
免疫学:自然免疫と適応免疫が微生物相を形作る仕組み