Nature ハイライト
生物物理学:無秩序なタンパク質から作られる高親和性複合体
Nature 555, 7694
タンパク質中の秩序立った構造を持たない領域が、高い親和性で起こるタンパク質–タンパク質相互作用に関係していることは、次第に明らかになってきている。だが、相互作用によってタンパク質複合体がひとたび形成されてしまえば、少なくとも一方のタンパク質は安定な折りたたみ構造をとることが知られている。今回B Schulerたちは、互いに独立した複数の生物物理学的手法を組み合わせて使い、ヒストンH1とその核内シャペロンであるプロサイモシンαという2つのタンパク質の間にピコモルレベルの非常に高い親和性で形成される複合体では、2つのタンパク質の無秩序状態が、互いに結合し合った後にも完全に維持されていることを実証している。この高親和性の結合は、非常に多くの電荷を持つ伸びたポリペプチド鎖に沿って、多数の動的で非特異的な静電相互作用が生じることによっている。ヒトも含めた真核生物のシグナル伝達分子には、このような構造上の特徴が広く存在している。
2018年3月1日号の Nature ハイライト
生物物理学:無秩序なタンパク質から作られる高親和性複合体
天文学:全天における吸収プロファイル
量子コンピューティング:捕捉イオンによる高速化
材料科学:伸びる電子デバイス
地球科学:地球内部の初期の分離を明らかにしたレユニオン島の岩石
神経生理学:微小な温度変化が睡眠を制御する
幹細胞:伸展により活性化されるイオンチャネルが幹細胞分化を促す
分子生物学:lncRNAを核へ案内する
分子神経科学:ハンチンチンの構造
構造生物学:クラスBのGPCR群で見られるバイアス型作用の基盤