Nature ハイライト
天文学:全天における吸収プロファイル
Nature 555, 7694
初期宇宙において第一世代の星が水素を加熱した際に、21 cm超微細線(天文学で標準的に使われる線で、基底状態の原子状水素のスピンフリップ遷移を示す)が変化し、水素ガスによる宇宙マイクロ波背景放射からの光子の吸収が生じた。これによって、200 MHzよりも低い周波数に観測可能な吸収シグナルが生じるはずである。今回J Bowmanたちは、この吸収プロファイルが、78 MHzを中心として幅19 MHzで深さ0.5 Kの周波数帯であるという観測結果を報告している。このプロファイルはおおむね予想の範囲内にあるが、予想よりも深い。また今週号の別の論文では、R Barkanaが、初期宇宙ではバリオンが冷たい暗黒物質粒子と相互作用して、ガスを予想以上に冷却した可能性を示している。
2018年3月1日号の Nature ハイライト
生物物理学:無秩序なタンパク質から作られる高親和性複合体
天文学:全天における吸収プロファイル
量子コンピューティング:捕捉イオンによる高速化
材料科学:伸びる電子デバイス
地球科学:地球内部の初期の分離を明らかにしたレユニオン島の岩石
神経生理学:微小な温度変化が睡眠を制御する
幹細胞:伸展により活性化されるイオンチャネルが幹細胞分化を促す
分子生物学:lncRNAを核へ案内する
分子神経科学:ハンチンチンの構造
構造生物学:クラスBのGPCR群で見られるバイアス型作用の基盤