Nature ハイライト

Cover Story:メーザーが主流に:ダイヤモンドの欠陥が室温マイクロ波レーザーの連続放射を駆動する

Nature 555, 7697

窒素–空孔(NV)欠陥中心を含むダイヤモンドに、緑色レーザー光(波長532nm)を照射したところ。赤色の光はNV中心の蛍光に起因する。
窒素–空孔(NV)欠陥中心を含むダイヤモンドに、緑色レーザー光(波長532nm)を照射したところ。赤色の光はNV中心の蛍光に起因する。 | 拡大する

Credit: Jonathan Breeze

光学レーザーが至る所で使われているため、その先輩に当たるメーザーは見落とされがちである。メーザーは、基本的には「マイクロ波レーザー」のことで、光学レーザーより約6年早い1954年に開発された。しかし、メーザーを動作させるには、極低温冷却システムや高真空システムという厳しい条件を必要とすることが多く、適用できる範囲がいくぶん限定されてきた。分子結晶を用いて室温メーザーが開発されてはいるが、熱的特性と機械的特性が比較的劣り、パルスモードでしか動作できない。今回J Breezeたちは、連続波モードで動作可能な室温メーザーでこうした問題を克服している。このシステムは、窒素–空孔中心と呼ばれる欠陥を含むダイヤモンド(表紙の画像)を用いている。メーザーは、すでに深宇宙通信や電波天文学に利用されているが、今回の連続波室温メーザーによって、医学、セキュリティー、量子技術へと応用の幅が広がる可能性がある。

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