Nature ハイライト
Cover Story:メーザーが主流に:ダイヤモンドの欠陥が室温マイクロ波レーザーの連続放射を駆動する
Nature 555, 7697
光学レーザーが至る所で使われているため、その先輩に当たるメーザーは見落とされがちである。メーザーは、基本的には「マイクロ波レーザー」のことで、光学レーザーより約6年早い1954年に開発された。しかし、メーザーを動作させるには、極低温冷却システムや高真空システムという厳しい条件を必要とすることが多く、適用できる範囲がいくぶん限定されてきた。分子結晶を用いて室温メーザーが開発されてはいるが、熱的特性と機械的特性が比較的劣り、パルスモードでしか動作できない。今回J Breezeたちは、連続波モードで動作可能な室温メーザーでこうした問題を克服している。このシステムは、窒素–空孔中心と呼ばれる欠陥を含むダイヤモンド(表紙の画像)を用いている。メーザーは、すでに深宇宙通信や電波天文学に利用されているが、今回の連続波室温メーザーによって、医学、セキュリティー、量子技術へと応用の幅が広がる可能性がある。
2018年3月22日号の Nature ハイライト
神経発生学:抑制性介在ニューロンにおける多様性の始まり
医学研究:より良い診断のための腫瘍タイプ分類法
細胞生物学:酵母核膜孔複合体の構造
計算機科学:機械学習による画像再構成の改良
太陽電池:カリウムによる不活性化を用いたペロブスカイトルミネッセンスの改良
材料科学:リチウム空気電池の寿命を長くする
太陽系:地球と月のよく似たカルシウム同位体組成
神経科学:初期脳発生のRNA-seq研究
植物生物学:植物における通過細胞の起源
生物海洋学:植物プランクトンでの鉄結合