Nature ハイライト
生物海洋学:植物プランクトンでの鉄結合
Nature 555, 7697
鉄は、光合成を行うプランクトン(植物プランクトン)にとって不可欠な栄養素である。だが、鉄は溶解度が低いため、非常に広い海域でその濃度は低く、植物プランクトンの増殖を制限している。A Allenたちは今回、植物プランクトンである珪藻のPhaeodactylum tricornutumが、ISIP2Aタンパク質の活性に依存した特異的な鉄獲得機構を発達させてきたことを明らかにした。ISIP2Aは、後生動物のタンパク質で高い親和性で鉄と結合するトランスフェリンの機能的アナログで、これらのタンパク質は、鉄の結合、内部への移行と遊離によく似た機構を共に使っていることから、独立に収斂進化してきたと考えられる。2つのタンパク質は、第二鉄イオンとCO32−の相乗的相互作用を介して鉄と結合する。海洋が酸性化するとCO32−濃度が低下するので、植物プランクトンの鉄取り込みや増殖も阻害される可能性がある。
2018年3月22日号の Nature ハイライト
神経発生学:抑制性介在ニューロンにおける多様性の始まり
医学研究:より良い診断のための腫瘍タイプ分類法
細胞生物学:酵母核膜孔複合体の構造
計算機科学:機械学習による画像再構成の改良
太陽電池:カリウムによる不活性化を用いたペロブスカイトルミネッセンスの改良
材料科学:リチウム空気電池の寿命を長くする
太陽系:地球と月のよく似たカルシウム同位体組成
神経科学:初期脳発生のRNA-seq研究
植物生物学:植物における通過細胞の起源
生物海洋学:植物プランクトンでの鉄結合