Nature ハイライト
Cover Story:鏡映粒子:ペプチドに誘導されて成長しキラル特性を得た金ナノ構造体
Nature 556, 7701
ナノファブリケーションの進歩によって、キラリティーの研究が有機化学に見られる従来の「鏡像」から三次元金属ナノ構造体へ拡張できるようになった。こうした金属構造体は、キラルな有機構造体と同様に光学活性を示し、個々の鏡像型は、円偏光可視光とそれぞれ異なる相互作用をする。この光学活性の起源はプラズモニック効果であり、構造体の形態が物質中の電子の振動に影響を及ぼす仕組みに由来する。今回K Namたちは、キラリティーの高い均一な金ナノ粒子を合成し、それぞれのキラル特性を制御する溶液法を実証している。著者たちは、金の種結晶の高指数結晶面にエナンチオ選択的に結合するシステインやシステインを含むペプチドの存在下で、金ナノ粒子を成長させることによって、キラリティーを生じさせている。この過程は、キラルセンシングやアクティブカラーディスプレイに新たな機会をもたらす可能性がある。
2018年4月19日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核時計の中の歯車
神経科学:免疫記憶が脳疾患を変化させる
ゲノミクス:パン酵母のゲノム進化
工学:論理デバイスとメモリーデバイスをつなぐ光
ナノスケール材料:多種類の二次元金属カルコゲニドを作る
進化学:大きくなり過ぎた生殖器で危機に瀕した貝形虫類
神経科学:フェレットでより良い脳発生モデルを作る
細胞生物学:Pelotaタンパク質がリボソームを救済する
構造生物学:INO80によるクロマチンリモデリングを見る