Nature ハイライト
Cover Story:古代ヒト族の混血個体:ネアンデルタール人の母親とデニソワ人の父親を持つ第一世代の個体
Nature 561, 7721
今回V SlonとS Pääboたちは、ネアンデルタール人とデニソワ人を両親に持つ第一世代の個体のゲノムを提示している。この太古の若者のゲノムは、シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟で発掘された骨片から得られた。この骨片は今から9万〜5万年前に死亡した若い女性のもので、死亡時の年齢は少なくとも13歳以上であったと見られる。ネアンデルタール人とデニソワ人はユーラシアで共存していて、両方の血を受け継いだ標本はこれまでにいくつか見つかっている。しかし今回、第一世代の個体が初めて発見され、ネアンデルタール人とデニソワ人の交配を示す直接証拠が得られた。著者たちは、ネアンデルタール人とデニソワ人の交配は、両集団が出会った際にはありふれた事象であった可能性があるが、そうした集団間の関わりは限定的であったため、遺伝的な独自性は維持できていたと示唆している。
2018年9月6日号の Nature ハイライト
神経科学:空間と時間の統合された記憶
心血管生物学:グルタミンシンテターゼの新しい機能
構造生物学:マラリアのタンパク質を積み荷として宿主細胞内に運び込むトランスロコン
惑星科学:木星の意外なダイナモ
量子物理学:原子を並べ替える
古生物学:哺乳類の生殖様式の起源
生態学:マルハナバチに対するスルホキシイミン系農薬の亜致死性の影響
神経科学:線虫では幼若期のストレスが性成熟に影響を及ぼす
免疫学:免疫のパターン認識におけるALPK1の役割
構造生物学:ピック病で見られるタウ繊維の構造