Nature ハイライト
量子物理学:原子を並べ替える
Nature 561, 7721
量子コンピューティングや量子シミュレーションの大規模応用には、個別に制御される多数のキュービットが必要となる。このため、最近の取り組みには、日進月歩で向上する低温原子並べ替え実験の開発が含まれている。今回D BarredoたちとD Weissたちがそれぞれ、低温の中性原子を規則正しく密に充填した三次元格子を実現できることを示している。Barredoたちの手法は、ホログラフィック光ピンセットに基づくもので、格子形状を高度に調節できる。これにより、最大72個のルビジウム原子を含み、全く任意の形状をとることができる、充填率がほぼ1の三次元アレイが実現された。一方、Weissたちは、「マクスウェルの悪魔」の思考実験から着想を得て、系の総エントロピーを量子縮退しきい値未満に低下させながら、三次元格子にセシウム原子を密に充填した。今回の結果は、中性原子量子コンピューターを用いる量子情報処理への有望なステップとなる。
2018年9月6日号の Nature ハイライト
神経科学:空間と時間の統合された記憶
心血管生物学:グルタミンシンテターゼの新しい機能
構造生物学:マラリアのタンパク質を積み荷として宿主細胞内に運び込むトランスロコン
惑星科学:木星の意外なダイナモ
量子物理学:原子を並べ替える
古生物学:哺乳類の生殖様式の起源
生態学:マルハナバチに対するスルホキシイミン系農薬の亜致死性の影響
神経科学:線虫では幼若期のストレスが性成熟に影響を及ぼす
免疫学:免疫のパターン認識におけるALPK1の役割
構造生物学:ピック病で見られるタウ繊維の構造