Nature ハイライト
神経回路:対象物の能動的感知に体性感覚皮質は不要かもしれない
Nature 561, 7724
脳の一次感覚野は、皮質階層構造の第一層で、感覚情報処理の基本演算を担う回路を含むと考えられている。しかし、刺激感知などの単純な課題についてさえ、一次感覚野の重要性には異論がある。今回R Brunoたちは、顔のひげを能動的に動かして対象を感知し、レバーを使って応答する訓練を施したマウスで、一次体性感覚皮質(S1)を急性的および慢性的に不活性化した影響を調べた。光遺伝学的不活性化と永久的損傷を用い、著者たちは運動と感覚の異常による感知行動の障害は一時的で、損傷を受けたマウスは急速に完全な行動能力を取り戻したことを示している。回復は経験依存的であり、学習以前のS1損傷による課題学習の獲得への影響はなかった。これらの結果から、S1の操作は一時的な悪影響を生むにすぎず、感覚と複数の恣意的運動の協調のための経路が複数あることが示唆される。
2018年9月27日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:造血幹細胞の生涯の軌跡
免疫学:広域中和抗体の臨床応用
生化学:de novo βバレルの設計
構造生物学:片頭痛に関係するCGRP受容体の構造がついに明らかになった
材料科学:自律的に再構成されるメタマテリアル
光学材料:自己給電型フレキシブルエレクトロニクスに向けて
古生物学:初期の哺乳類が小さかった理由は顎の力学的構造で説明できる可能性がある
神経回路:対象物の能動的感知に体性感覚皮質は不要かもしれない
神経科学:体性感覚皮質は脊髄での触覚情報処理を調節する
細胞生物学:微小核における核膜組み立て異常の理解
構造生物学:膜に結合したレトロマーのクローズアップ