Nature ハイライト

Cover Story:初めての飛行:可動部のないエンジンを動力にする飛行機が空を飛んだ

Nature 563, 7732

飛行機は100年以上にわたって、エンジンで駆動するプロペラや、ジェット燃料の燃焼から動力を生み出すタービン(ジェットエンジン)を使って空を飛んでおり、その動力源の大半は化石燃料である。今回S Barrettたちは、その代替となる方法を示している。つまり、可動部がなく、ほとんど音を出さないエンジンを動力にした飛行機である。このソリッドステート推進システムでは、電場を使って空気中の分子をイオン化し、次にそのイオンが中性分子と衝突してイオン風が生じ、推力が発生する。こうしたシステムは、推力対電力比に限界があるために飛行機を推進できないとこれまで考えられてきたが、著者たちは、ソリッドステート飛行機を持続的に飛行させて、そうではないことを実証している。この飛行機は、重量が2.45 kg、翼長が5 mで、約500 Wの電力を生み出す電池スタックと電力変換器を搭載している。試験飛行では、総合的な効率は低いものの、ジェットエンジンに匹敵する推力対電力比が達成された。この概念実証によって、電気空気力学的推進の可能性が開かれ、より静かな低排出飛行機につながる可能性がある。

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