Nature ハイライト
古生物学:恐竜の卵の色と模様
Nature 563, 7732
マニラプトル類恐竜(羽毛をまとっていることの多い小型の二足歩行恐竜類で、鳥類を含む)の多くは、斑点模様のある卵を産んでいた。一方、鳥類との類縁関係がより遠い恐竜類(竜脚類や鳥盤類など)では卵にこうした模様の形成は認められず、また、現生ワニ類の卵は無地で白い。一部の恐竜の卵には色があったことを示したこれまでの研究結果を基に、今回J Wiemannたちは対象とする種数および解析技術の幅を広げ、卵殻の断片をラマン分光法によりマッピングすることで、鳥類の卵に色をもたらす2種類の色素であるプロトポルフィリン(赤褐色)とビリベルジン(青緑色)の分解生成物の存在を示している。現生の全ての卵生四肢類のうち、有色卵を産むのは鳥類のみである。この研究によって、卵の着色の起源がはるか昔にさかのぼることが明らかになった。今回用いられた技術は、化石証拠から恐竜の生活習性に関してさらに多くの情報を引き出す上で、極めて有用である可能性がある。
2018年11月22日号の Nature ハイライト
遺伝学:最新版ネッタイシマカゲノムアセンブリ
神経変性:TDP-43の集合体は正常な筋再生の際に形成されて除去される
幹細胞:骨を修復する神経堤プログラムの活性化
治療抵抗性:DYNLL1はゲノム安定性と化学療法への応答に影響を及ぼす
量子物理学:読み出し、訂正、繰り返し
オプトエレクトロニクス:有機ラジカル発光体を用いる高効率発光
光学材料:鉛を用いない白色発光
古生物学:恐竜の卵の色と模様
免疫学:T細胞の活性化と増殖におけるBH4の役割
生化学:エントロピーは化学的性質に勝る