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古生物学:恐竜の卵の色と模様

Nature 563, 7732

鮮やかな色と斑点模様を有するクロウタドリの卵。今回、有色卵を産むという鳥類の特徴が、祖先である非鳥類型恐竜から受け継いだものであることが示された。
鮮やかな色と斑点模様を有するクロウタドリの卵。今回、有色卵を産むという鳥類の特徴が、祖先である非鳥類型恐竜から受け継いだものであることが示された。 | 拡大する

Credit: UnicusX / iStock / Getty Images Plus

マニラプトル類恐竜(羽毛をまとっていることの多い小型の二足歩行恐竜類で、鳥類を含む)の多くは、斑点模様のある卵を産んでいた。一方、鳥類との類縁関係がより遠い恐竜類(竜脚類や鳥盤類など)では卵にこうした模様の形成は認められず、また、現生ワニ類の卵は無地で白い。一部の恐竜の卵には色があったことを示したこれまでの研究結果を基に、今回J Wiemannたちは対象とする種数および解析技術の幅を広げ、卵殻の断片をラマン分光法によりマッピングすることで、鳥類の卵に色をもたらす2種類の色素であるプロトポルフィリン(赤褐色)とビリベルジン(青緑色)の分解生成物の存在を示している。現生の全ての卵生四肢類のうち、有色卵を産むのは鳥類のみである。この研究によって、卵の着色の起源がはるか昔にさかのぼることが明らかになった。今回用いられた技術は、化石証拠から恐竜の生活習性に関してさらに多くの情報を引き出す上で、極めて有用である可能性がある。

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