Nature ハイライト
治療抵抗性:DYNLL1はゲノム安定性と化学療法への応答に影響を及ぼす
Nature 563, 7732
PARP阻害剤と総称される治療薬を投与された乳がんなどのがんでは、治療抵抗性が生じることが知られており、抵抗性が生じるさまざまな機構が報告されている。そして今回、D ChowdhuryたちはDYNLL1タンパク質に依存する新たな抵抗性機構を明らかにした。DYNLL1はDNA二本鎖切断の際の末端削り込みに拮抗的に働くことで、相同性修復を阻害することが分かった。一部の乳がんや膵臓がんの細胞で見られるDYNLL1発現の低下は、無増悪生存期間の短さと相関しており、それは相同組換えの回復によってがんのゲノム安定性が増すからである。この機構は、PARP阻害剤への抵抗性に寄与していると思われる。
2018年11月22日号の Nature ハイライト
遺伝学:最新版ネッタイシマカゲノムアセンブリ
神経変性:TDP-43の集合体は正常な筋再生の際に形成されて除去される
幹細胞:骨を修復する神経堤プログラムの活性化
治療抵抗性:DYNLL1はゲノム安定性と化学療法への応答に影響を及ぼす
量子物理学:読み出し、訂正、繰り返し
オプトエレクトロニクス:有機ラジカル発光体を用いる高効率発光
光学材料:鉛を用いない白色発光
古生物学:恐竜の卵の色と模様
免疫学:T細胞の活性化と増殖におけるBH4の役割
生化学:エントロピーは化学的性質に勝る