Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化によって太平洋東部のエルニーニョ現象の変動が増大する
Nature 564, 7735
エルニーニョ現象の予測は久しく気候科学における厄介な問題であったが、今回W Caiたちの研究によって、気候モデル自体に対する新たな知見が得られ、エルニーニョ現象の変動が今後確実に増大すると予測されることが明らかになった。著者たちは、エルニーニョの挙動に関する混乱状態が、「気候モデルはエルニーニョを調べるのに重要な場所である太平洋東部の温度変動を確かにシミュレートしている傾向はあるが、変動のピークの場所がモデルによってかなり異なる」という事実に起因することを示している。従って、通例のようにある特定の海域のみを調べると、さまざまなモデル応答が混ざり合うことになる。今回の論文は、それぞれのモデルのピーク変動域に焦点を合わせることで、太平洋東部のエルニーニョ現象の変動が今後約15%増大し、より強力なエルニーニョ現象ではその程度がさらに増大することを明らかにしている。
2018年12月13日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化によって太平洋東部のエルニーニョ現象の変動が増大する
気候変動生態学:移動する熱帯の高木
幹細胞:より良い再プログラム化のための細胞系譜追跡
物性物理学:グラフェンシート間に形成された超高密度リチウム
有機化学:一方のキラリティーのみを得る新しい方法
文化進化学:ボルネオ島の初期の洞窟芸術
免疫学:心房性ナトリウム利尿ペプチドはサイトカイン放出症候群を防ぐ
ウイルス学:レトロウイルスDNAをサイレンシングする
微生物学:ファージ防御用化学兵器
分子生物学:Dna2は二本鎖切断部位でのDNA挿入を制限している