Nature ハイライト
物性物理学:グラフェンシート間に形成された超高密度リチウム
Nature 564, 7735
リチウムは、炭素原子6個当たりリチウム原子1個という最大リチウム密度で、グラファイトアノードに可逆的にインターカレートする。これが、多くの消費者向け電池に使用されるグラファイトアノードの基盤である。今回J Smetたちは、透過型電子顕微鏡内部に小型電気化学セルを作製し、球面収差と色収差を補正したin situ低電圧透過型電子顕微鏡法を用いて、2層のグラフェンシート間へのリチウムのインターカレーション過程を直接観察している。意外なことに、著者たちは、今回の実験条件下において、LiC6に相当するリチウム単層ではなく多層の高密度リチウム相が形成されることを見いだした。この研究結果は、二次元層状材料では、イオンの貯蔵構成がバルクの親化合物とはっきりと異なり、場合によってはバルクよりも優れている可能性があることを示している。
2018年12月13日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化によって太平洋東部のエルニーニョ現象の変動が増大する
気候変動生態学:移動する熱帯の高木
幹細胞:より良い再プログラム化のための細胞系譜追跡
物性物理学:グラフェンシート間に形成された超高密度リチウム
有機化学:一方のキラリティーのみを得る新しい方法
文化進化学:ボルネオ島の初期の洞窟芸術
免疫学:心房性ナトリウム利尿ペプチドはサイトカイン放出症候群を防ぐ
ウイルス学:レトロウイルスDNAをサイレンシングする
微生物学:ファージ防御用化学兵器
分子生物学:Dna2は二本鎖切断部位でのDNA挿入を制限している