Nature ハイライト
幹細胞:より良い再プログラム化のための細胞系譜追跡
Nature 564, 7735
単一細胞技術により、大規模な細胞集団内のまれな細胞の追跡が可能になったことで、細胞の再プログラム化という、現状では効率がよくなく、不均一な細胞集団を生じる過程についての手掛かりが得られると考えられる。S Morrisたちは今回、「CellTagging」という細胞索引作成法について報告している。彼らは、この方法を用いて細胞系譜について調べ、さらに単一細胞RNA塩基配列解読法を組み合わせて、細胞の再プログラム化の軌跡についての情報を得た。繊維芽細胞から誘導内胚葉前駆細胞までの細胞系譜について10万個以上の細胞のプロファイリングを行ったところ、2つの主要な軌跡が明らかになった。その1つは、エピジェネティックなモジュレーターと考えられているMettl7a1の発現との関連を示し、この軌跡は再プログラム化の成功につながる。もう1つは「行き止まり」経路で、元の細胞タイプの遺伝子の再発現につながる。細胞の再プログラム化カクテルにMettl7a1を加えると、再プログラム化の成功率が上昇した。これらの結果から、他の不均一な過程の手掛かりを得る上でも、この追跡手法が使える可能性が実証された。
2018年12月13日号の Nature ハイライト
気候科学:地球温暖化によって太平洋東部のエルニーニョ現象の変動が増大する
気候変動生態学:移動する熱帯の高木
幹細胞:より良い再プログラム化のための細胞系譜追跡
物性物理学:グラフェンシート間に形成された超高密度リチウム
有機化学:一方のキラリティーのみを得る新しい方法
文化進化学:ボルネオ島の初期の洞窟芸術
免疫学:心房性ナトリウム利尿ペプチドはサイトカイン放出症候群を防ぐ
ウイルス学:レトロウイルスDNAをサイレンシングする
微生物学:ファージ防御用化学兵器
分子生物学:Dna2は二本鎖切断部位でのDNA挿入を制限している