Nature ハイライト
Cover Story:細胞ダイナミクス:作動中の分子機械を捉えた一連の構造
Nature 571, 7766
ABC輸送体と呼ばれるタンパク質は、細胞膜に見られる非常に動的な分子機械である。このタンパク質は、さまざまな基質を細胞内部から運び出すため、適応免疫や多剤耐性を含むいくつかの重要な細胞過程に関与している。今回R TampéとA Moellerたちは、TmrABと呼ばれるABC輸送体の作動中の8つの状態の構造を報告している。これによって、基質輸送時にこのタンパク質がとるさまざまなコンホメーションの全体像が提示された。表紙は、細胞膜内に埋まっているTmrABの多重タンパク質複合体(青色と黄色)である。著者たちは、クライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて、さまざまな状態を捉えており、この撮像過程は、ヒトの生理機能や疾患に密接に関連する他の輸送体にも適用できると思われる。
2019年7月25日号の Nature ハイライト
古人類学:人類のヨーロッパへの移動は古くて複雑だった
発生生物学:哺乳類の発生を横断する遺伝子発現
発生生物学:哺乳類の発生におけるlncRNA
生物物理学:ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である
分子生物学:複製フォーク保護の新たな役割
量子物理学:エネルギー分解能を上げる
物性物理学:超伝導体における不均一な超流体の画像化
化学:前生物的ペプチドの妥当な合成経路
気候変動:中世の気候異常と小氷期が時空間的に一貫していたことを示す証拠はほとんどない
生体力学:捕食性の原生生物が生み出す波の連鎖
神経変性:パーキンソン病誘発についての示唆に富む証拠