Nature ハイライト
分子生物学:複製フォーク保護の新たな役割
Nature 571, 7766
乳がん感受性遺伝子であるBRCA1およびBRCA2の役割の1つは、立ち往生した複製フォークを分解から保護することである。J Morrisたちは今回、フォーク保護に最も重要なのはBRCA1とPALB2との相互作用ではなく、BRCA1とBARD1との相互作用であること、この特別な相互作用はBRCA1中のプロリン残基を異性化してコンホメーション変化を誘導する酵素によって促進されることを明らかにしている。BRCA1–BARD1複合体は停止しているフォークの所に鎖交換タンパク質RAD51を誘導することができる。がん患者由来の細胞の中には、BRCA1–BARD1の相互作用に関わるドメインに変異が生じているものがあった。このような細胞は相同組換え修復は依然として促進できることから、抗発がん的に働いているのは相同組換え修復ではなく、BRCA1のフォーク保護活性であると考えられる。
2019年7月25日号の Nature ハイライト
古人類学:人類のヨーロッパへの移動は古くて複雑だった
発生生物学:哺乳類の発生を横断する遺伝子発現
発生生物学:哺乳類の発生におけるlncRNA
生物物理学:ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である
分子生物学:複製フォーク保護の新たな役割
量子物理学:エネルギー分解能を上げる
物性物理学:超伝導体における不均一な超流体の画像化
化学:前生物的ペプチドの妥当な合成経路
気候変動:中世の気候異常と小氷期が時空間的に一貫していたことを示す証拠はほとんどない
生体力学:捕食性の原生生物が生み出す波の連鎖
神経変性:パーキンソン病誘発についての示唆に富む証拠