Nature ハイライト

生物物理学:ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である

Nature 571, 7766

適応性熱産生は深部体温の調節や脂肪沈着の制御により、エネルギーの全体的な均衡に関わっている。この過程は、脱共役タンパク質(UCP)の活性に依存していて、UCPは長鎖脂肪酸(FA)が存在するとミトコンドリア内膜の透過性を高め、ミトコンドリアにATPではなく熱を産生させる。UCP1は褐色脂肪やベージュ脂肪の脱共役タンパク質であることが知られているが、他の全ての組織でH+漏出を行っているUCPの本体が何なのかは、まだ解明されていなかった。今回Y Kirichokたちは、ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体(AAC)が、UCP1を発現していないあらゆる組織のミトコンドリアでH+漏出を行っていることを明らかにしている。ACCはin vivoで2つの機能を持ち、ADPとATPの交換だけでなく、ATP需要が低い場合には脂肪酸の存在下で脱共役による熱産生を引き起こすことが分かった。

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