Nature ハイライト
生物物理学:ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である
Nature 571, 7766
適応性熱産生は深部体温の調節や脂肪沈着の制御により、エネルギーの全体的な均衡に関わっている。この過程は、脱共役タンパク質(UCP)の活性に依存していて、UCPは長鎖脂肪酸(FA)が存在するとミトコンドリア内膜の透過性を高め、ミトコンドリアにATPではなく熱を産生させる。UCP1は褐色脂肪やベージュ脂肪の脱共役タンパク質であることが知られているが、他の全ての組織でH+漏出を行っているUCPの本体が何なのかは、まだ解明されていなかった。今回Y Kirichokたちは、ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体(AAC)が、UCP1を発現していないあらゆる組織のミトコンドリアでH+漏出を行っていることを明らかにしている。ACCはin vivoで2つの機能を持ち、ADPとATPの交換だけでなく、ATP需要が低い場合には脂肪酸の存在下で脱共役による熱産生を引き起こすことが分かった。
2019年7月25日号の Nature ハイライト
古人類学:人類のヨーロッパへの移動は古くて複雑だった
発生生物学:哺乳類の発生を横断する遺伝子発現
発生生物学:哺乳類の発生におけるlncRNA
生物物理学:ミトコンドリアのADP/ATP交換輸送体は脱共役タンパク質である
分子生物学:複製フォーク保護の新たな役割
量子物理学:エネルギー分解能を上げる
物性物理学:超伝導体における不均一な超流体の画像化
化学:前生物的ペプチドの妥当な合成経路
気候変動:中世の気候異常と小氷期が時空間的に一貫していたことを示す証拠はほとんどない
生体力学:捕食性の原生生物が生み出す波の連鎖
神経変性:パーキンソン病誘発についての示唆に富む証拠