Nature ハイライト

幹細胞:老齢期に生じる個体差の駆動要因

Nature 574, 7779

個体間のばらつきは、新たに分かってきた老化の特徴であるが、何がこのばらつきを引き起こすのかは分かっていない。S MahmoudiとE Manciniたちは今回、老齢マウス由来の培養繊維芽細胞では、誘導多能性幹(iPS)細胞への再プログラム化効率において個体間のばらつきが大きいことを示している。再プログラム化効率の異なる繊維芽細胞のプロファイリングから、老齢マウスの繊維芽細胞培養にはいわゆる「活性化繊維芽細胞」が含まれており、これらの細胞が炎症性サイトカインを分泌し、培養細胞の再プログラム化効率を決定することが分かった。これは間違いなく再生医療や若返り戦略に関係してくる。さらに、異なるサイトカインプロファイルを持つ繊維芽細胞の別個の亜集団があるために、in vivoでの治癒が遅い個体や速い個体という個体間のばらつきが生じることも分かった。このようなばらつきは、個体間の確率論的な老化軌跡の違いを反映している可能性があり、高齢者におけるiPS細胞の作製や創傷治癒を改善するための個別化戦略の開発に役立つかもしれない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度