Nature ハイライト
量子物理学:用途の広い分子
Nature 581, 7808
量子情報処理や、センシングなどの他の量子強化タスクは通常、適切に制御した二準位量子系の利用可能性に基づいている。いくつかの物理的な量子系はこのように振る舞うが、特定のプラットフォームでは、その自然な動作周波数、すなわち2つの量子準位間のエネルギーギャップに依存することの多い実用上の利点や欠点が生じる。そのため、ハイブリッドな環境で動作でき、量子情報をさまざまな周波数にわたって変換できる柔軟な量子系を利用するのが望ましいと思われる。単一の量子制御された分子は、回転遷移、振動遷移、電子遷移の幅が広いため、こうした可能性をもたらす。今回Y Linたちは、分子イオンの回転準位と単一原子イオンの状態の間の量子エンタングルメントを報告している。数桁にわたる周波数の回転準位が同一の実験でエンタングルでき、これによって、将来、分子を使ってさまざまなキュービットを結び付け、量子応用のための新たな機能を得る方法が実証された。
2020年5月21日号の Nature ハイライト
天文学:ビッグバンから15億年後に形成された円盤銀河
量子物理学:用途の広い分子
応用物理学:半球形の網膜を持つ生体模倣眼球
材料科学:秩序によって強くなる
化学:重水素を所定の位置に配置する
生物工学:ヒトの全身の単一細胞地図
医学研究:肥満におけるスタチンと微生物相
免疫学:アダプタータンパク質TASLはSLC15A4を介してエンドソームのToll様受容体をIRF5に結び付ける
構造生物学:DGAT1の機能についての構造的手掛かり
構造生物学:ACAT1の構造と機能の特徴