Nature ハイライト
応用物理学:半球形の網膜を持つ生体模倣眼球
Nature 581, 7808
生物学的な眼は、多くの動物にとって最も重要な感覚器官である。凹状で半球形の網膜を持つヒトの眼球は、視野が広く高分解能で、照明環境に対する適応性が優れているため特に重要である。そうした特性を持つ生体模倣眼球は、さまざまな技術に非常に望ましいが、球形であるという生物の眼球の性質によって、製造が非常に難しくなる。今回Z Fanたちは、光に対する感度が高く、生物の網膜の光受容体を模倣するペロブスカイトナノワイヤーの高密度アレイでできた半球形網膜を持つ、電気化学的な眼球を実証している。ヒトの眼球に構造が似ているだけでなく、この半球形の人工網膜は光受容体の密度をはるかに高くできるため、より高い画像分解能を実現できる可能性があり、家電製品やロボティクスから科学機器まで幅広い応用に役立つと思われる。
2020年5月21日号の Nature ハイライト
天文学:ビッグバンから15億年後に形成された円盤銀河
量子物理学:用途の広い分子
応用物理学:半球形の網膜を持つ生体模倣眼球
材料科学:秩序によって強くなる
化学:重水素を所定の位置に配置する
生物工学:ヒトの全身の単一細胞地図
医学研究:肥満におけるスタチンと微生物相
免疫学:アダプタータンパク質TASLはSLC15A4を介してエンドソームのToll様受容体をIRF5に結び付ける
構造生物学:DGAT1の機能についての構造的手掛かり
構造生物学:ACAT1の構造と機能の特徴