Nature ハイライト

免疫学:細胞外タンパク質恒常性の調節因子

Nature 584, 7821

細胞内では、シャペロンやタンパク質分解機構の複雑なネットワークによって、タンパク質恒常性の維持が保証されている。しかし、細胞外のタンパク質恒常性がどのように調節されているかは分かっていない。I Gallottaたちは今回、線虫の一種Caenorhabditis elegansを用いて、細胞外でのタンパク質恒常性に特化した分泌タンパク質の一群を発見した。細胞外タンパク質は、マトリックスの構築、他の細胞へのシグナル伝達、あるいは免疫の提供といった不可欠な機能を達成している。今回発見されたタンパク質恒常性ネットワークは、感知した病原体の攻撃に応答して上方制御され、タンパク質の凝集を抑制し、中毒に対する耐性を付与し、老化を遅らせる。細胞外タンパク質の恒常性には、エンドサイトーシスによる除去や、ホルダーゼあるいはシャペロンの活性などの複数の異なる機構があることを示す証拠が得られた。著者たちは、細胞外タンパク質恒常性の誘導は、病原体の伝播を阻止し、分泌の増加により生じるタンパク質毒性を軽減すると考えている。バイオインフォマティクス解析で、これらの細胞外調節因子のおよそ半数にはヒトオルソログがある可能性が明らかになったことから、C. elegansでの細胞外タンパク質恒常性の知見は、哺乳類での同様の発見に役立つかもしれない。細胞外の沈着物は、アルツハイマー病のような治療法のない神経変性疾患の特徴であるという事実は、本研究の重要性を明確にしている。

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