Nature ハイライト
構造生物学:LPSセンサーの存在意義が明らかに
Nature 584, 7821
リポ多糖(LPS)はグラム陰性細菌外膜の主要成分であり、障壁機能の維持に不可欠であるだけでなく、感染の際には免疫増強物質として機能する。LPSの生合成の基盤となっている因子と機構はよく研究されているが、不明な点もまだいくつか残っている。J Payandehたちは今回、内膜にあって不明なところの多いタンパク質PbgAについて構造学的・生理学的な研究を行い、これが重要なLPSセンサーであることを明らかにした。この結果は、最近発表された複数の研究のものとは対照的である。今回の研究によって、PbgAが持つこれまで知られていなかったLPS結合部位が明らかになり、PbgAがLPS生合成酵素LpxCの活性を調節していることが分かった。さらに彼らは、PbgAを標的とするペプチドのライブラリーを構造学的データに基づいて作製した。これは細菌外膜を標的とする新規抗菌剤を設計する際の出発点となる。
2020年8月20日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:超伝導ダイオード
物性物理学:界面の圧電性と焦電性
材料科学:シリカエアロゲルの新たな方向性
気候科学:1900年以降の海水準上昇の原因の解明
生態学:ヒトが管理する生態系では人獣共通感染症の宿主がより多い
ゲノミクス:象徴的な爬虫類のゲノムアセンブリ
免疫学:細胞外タンパク質恒常性の調節因子
細胞生物学:ステロイドを介した器官間増殖制御における性的二型性
構造生物学:LPSセンサーの存在意義が明らかに