Nature ハイライト
細胞生物学:ステロイドを介した器官間増殖制御における性的二型性
Nature 584, 7821
ステロイドホルモンであるエクジソンは、交尾後のショウジョウバエ(Drosophila)の雌の卵巣で産生され、このため、性的に活発な雌ではエクジソンのレベルが雄よりも高い。ショウジョウバエにおける性的二型性は、損傷や遺伝的に誘導された腫瘍に対する応答の大きさや可塑性にも現れる。B Edgarたちは今回、このようなこれまでの観察結果を拡張して、活発な卵巣によって産生されるエクジソンのレベルが高いと雌の腸の幹細胞の増殖が促されて腸が拡大し、これによって卵産生のための栄養流入が増加して繁殖適応度が最大になることを示している。雄と雌の腸幹細胞の増殖挙動に違いがあることは昔から認識されており、この器官間シグナル伝達はその説明となる。しかし、雌では腸幹細胞の活動亢進によって腸の加齢依存的異形成および腫瘍発生の傾向が高まることも示された。
2020年8月20日号の Nature ハイライト
エレクトロニクス:超伝導ダイオード
物性物理学:界面の圧電性と焦電性
材料科学:シリカエアロゲルの新たな方向性
気候科学:1900年以降の海水準上昇の原因の解明
生態学:ヒトが管理する生態系では人獣共通感染症の宿主がより多い
ゲノミクス:象徴的な爬虫類のゲノムアセンブリ
免疫学:細胞外タンパク質恒常性の調節因子
細胞生物学:ステロイドを介した器官間増殖制御における性的二型性
構造生物学:LPSセンサーの存在意義が明らかに