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進化学:ダイアウルフとハイイロオオカミの間に遺伝子流動はなかった

Nature 591, 7848

更新世の北米での一場面を描いた想像図。食事中のダイアウルフの群れに近づき、追い払われるハイイロオオカミ。ダイアウルフはハイイロオオカミより大きく、体色は赤褐色だった。
更新世の北米での一場面を描いた想像図。食事中のダイアウルフの群れに近づき、追い払われるハイイロオオカミ。ダイアウルフはハイイロオオカミより大きく、体色は赤褐色だった。 | 拡大する

Credit: Mauricio Antón

ダイアウルフ(Canis dirus)は、その高い形態的類似性からハイイロオオカミ(Canis lupus)の姉妹種と考えられているが、全く別の系統を形成している可能性があると示唆する仮説も存在する。今回L Frantzたちは、1万2900年前から5万年以上前にさかのぼるダイアウルフの半化石骨標本5点から抽出されたDNAの塩基配列を解読し、現生のイヌ科動物種と共に系統発生解析を行った。その結果、3つの主要な系統(ダイアウルフ、アフリカのジャッカル類、解析した他の全ての現生のオオカミ様イヌ科動物を含むクレード)が単系統であることが明らかになり、ダイアウルフとオオカミ様イヌ科動物との最終共通祖先の年代は約570万年前と推定された。

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