Nature ハイライト

構造生物学:明らかになったクエン酸輸送機構

Nature 591, 7848

クエン酸は細胞のトリカルボン酸回路に関係する重要な代謝中間体である。クエン酸はまた、脂肪酸合成と解糖の前駆体として機能しているため、本来的にこれらの過程を調節している。クエン酸は、ナトリウム依存性クエン酸輸送体のNaCTにより肝臓や脳、精巣に取り込まれる。そのため、この輸送体は、貯蔵脂肪の低減を介した肥満や糖尿病、心血管疾患の治療のための薬剤標的として特に関心を集めている。今回D Wangたちは、クエン酸、もしくは阻害物質と複合体を形成したヒトNaCTのクライオ電子顕微鏡構造を報告している。その構造から、クエン酸輸送の阻害の仕組みと、阻害物質がよく似たカルボン酸輸送系よりもNaCTの方に選択性を示す仕組みが明らかになり、阻害剤の設計をどのように改良したら良いのか、その方向性が示唆された。

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