Nature ハイライト
構造生物学:明らかになったクエン酸輸送機構
Nature 591, 7848
クエン酸は細胞のトリカルボン酸回路に関係する重要な代謝中間体である。クエン酸はまた、脂肪酸合成と解糖の前駆体として機能しているため、本来的にこれらの過程を調節している。クエン酸は、ナトリウム依存性クエン酸輸送体のNaCTにより肝臓や脳、精巣に取り込まれる。そのため、この輸送体は、貯蔵脂肪の低減を介した肥満や糖尿病、心血管疾患の治療のための薬剤標的として特に関心を集めている。今回D Wangたちは、クエン酸、もしくは阻害物質と複合体を形成したヒトNaCTのクライオ電子顕微鏡構造を報告している。その構造から、クエン酸輸送の阻害の仕組みと、阻害物質がよく似たカルボン酸輸送系よりもNaCTの方に選択性を示す仕組みが明らかになり、阻害剤の設計をどのように改良したら良いのか、その方向性が示唆された。
2021年3月4日号の Nature ハイライト
量子情報:フォトニック量子コンピューティング向けのプログラマブル・ナノフォトニックチップ
光物理学:モアレポラリトン
地球科学:粒界での応力誘起アモルファス化が引き金となるマントル変形
進化学:ダイアウルフとハイイロオオカミの間に遺伝子流動はなかった
遺伝学:COVID-19の重篤疾患に関連する遺伝的座位
神経科学:脳空間を再構築する
コロナウイルス:COVID-19重症患者では単球のISG群誘導が障害されている
生化学:溶解性細胞死におけるNINJ1の役割
生物物理学:相分離した細胞内液体のオートファジー
生化学:細胞内でタンパク質の反応速度論的性質を測定する
構造生物学:明らかになったクエン酸輸送機構