Nature ハイライト

分子生物学:胚発生におけるエンハンサー活性

Nature 512, 7512

今回、2報の論文で、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)での発生エンハンサーの役割が検証された。ショウジョウバエは産卵からたった18時間で発生を完了し、エンハンサー活性の変化に関連して転写に著しい変化が見られることから、この研究に理想的なモデルである。E Kvonたちは、7,000個以上の候補エンハンサーの活性を体系的に解析した。調べたゲノム断片のうち、およそ半数が胚で活性化しており、発生中に動的な空間的パターンを示した。エンハンサー活性を、標的と推定される遺伝子の発現パターンとマッチさせたところ、予測シス制御モチーフが見つかった。Y Ghavi-Helmたちは、エンハンサーの三次元的接触の高解像度マップを示し、局所的な調節的相互作用は多いものの、長距離間での相互作用の方がより一般的であることを明らかにしている。意外にも、ほとんどの相互作用は、組織間や発生段階を通じて変わらないようである。従って、転写はあらかじめ形成されていたエンハンサーとプロモーターのループから、停止状態だったポリメラーゼが遊離することにより開始される。またこの研究は、エンハンサーの接触を支配する一般的なトポロジーが、ハエからヒトに至るまで保存されていることを示唆している。

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