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地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正

Nature 523, 7562

5000年にわたり火山噴火による気候への影響を記録してきた、「世界最長寿の樹木」とされる米国カリフォルニア州ホワイト山地のブリッスルコーンパイン(<i>Pinus Longaeva</i>)。
5000年にわたり火山噴火による気候への影響を記録してきた、「世界最長寿の樹木」とされる米国カリフォルニア州ホワイト山地のブリッスルコーンパイン(Pinus Longaeva)。 | 拡大する

Credit: Michael Sigl

火山噴火が気候に影響を与えることは過去の研究から示唆されているが、1年の分解能で正確に年代決定された年輪の年代と氷床コアに記録された火山性変動の年代を一致させるのは難しいことが分かっている。今回M Siglたちは、775年にヨーロッパ全域の樹木の年輪に独特な大気中14Cの指紋を残した宇宙線異常との関連がはっきりしている大気中10Beの急上昇を、グリーンランドと南極から得られた氷床コアで同じように観察される10Beの急上昇の年代を決定する手段として用いた。その結果、年輪と氷床コアの年代を関係付ける際には、氷床コアの記録を7年ずらすべきであることが分かった。このデータによって、熱帯と高緯度域における大規模な火山噴火が過去2500年間の北半球の気温変動の主な要因であることが確かめられ、そうした噴火は、6世紀に起こったパンデミック、飢饉、社会経済的な混乱の触媒として働いたことが示唆された。

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