Nature ハイライト
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
Nature 523, 7562
定常状態で自己複製を行っている成体組織で、前駆細胞と分化した細胞の数のバランスが維持されている仕組みは不明である。J Rajagopalたちは今回、マウスの気管の気道上皮では、前駆細胞がその娘細胞の運命を指示する「フィードフォワード」シグナルを送っていることを示す。研究に用いられた系では、基底前駆細胞は自己複製し、気道の機能に必要な分泌細胞と繊毛細胞へ分化する。分泌細胞は前駆細胞として働いて、繊毛細胞へ分化することもできる。著者たちは、基底細胞がNotchをベースとしたシグナルを分泌細胞へ送って、繊毛細胞への尚早な分化を抑えており、このシグナルは分泌娘細胞の維持に必須であることを見いだした。著者たちは、幹細胞が、順方向性の調節機構を用いて組織全体の変化を調整するととともに、新たな細胞の供給源として働いていると考えている。
2015年7月30日号の Nature ハイライト
地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正
微生物学:微生物バイオフィルム内の持ちつ持たれつの関係
構造生物学:VI型分泌系の構造
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
量子物理学:バルク固体における高次高調波放射
高分子化学:高温誘電体としてのポリマーナノ複合材料
古生物学:カメの進化の複雑さ
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる