Nature ハイライト

古生物学:カメの進化の複雑さ

Nature 523, 7562

新たなステム群カメ類、<i>Pappochelys</i>(復元想像図)。
新たなステム群カメ類、Pappochelys(復元想像図)。 | 拡大する

Credit: Rainer Schoch

カメ類のボディープランは爬虫類の中で際立って特異であり、また、甲(いわゆる甲羅)のあるカメ類と一般的なボディープランの爬虫類の中間的な形態の化石が見つかっていないため、カメ類の進化史をめぐる研究は混迷している。今回R SchochとH Suesは、こうした空白の一部を埋める助けとなりそうな、ドイツで見つかった約2億4000万年前の化石について報告している。この動物は背中に甲がなく、腹側に融合した腹甲もないが、カメ類のステム系統の特徴と考えられている幅広で断面がT字型の肋骨や、頑丈な腹肋骨からなる胸部構造を有している。またその頭蓋の形状は、カメ類が双弓類の爬虫類だとする説の裏付けとなる。つまり、カメ類は爬虫類系統樹の中で1本の離れた枝を構成しているのではなく、恐竜や鳥類などの主竜類に近縁だということになる。

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