Nature ハイライト
古生物学:カメの進化の複雑さ
Nature 523, 7562
カメ類のボディープランは爬虫類の中で際立って特異であり、また、甲(いわゆる甲羅)のあるカメ類と一般的なボディープランの爬虫類の中間的な形態の化石が見つかっていないため、カメ類の進化史をめぐる研究は混迷している。今回R SchochとH Suesは、こうした空白の一部を埋める助けとなりそうな、ドイツで見つかった約2億4000万年前の化石について報告している。この動物は背中に甲がなく、腹側に融合した腹甲もないが、カメ類のステム系統の特徴と考えられている幅広で断面がT字型の肋骨や、頑丈な腹肋骨からなる胸部構造を有している。またその頭蓋の形状は、カメ類が双弓類の爬虫類だとする説の裏付けとなる。つまり、カメ類は爬虫類系統樹の中で1本の離れた枝を構成しているのではなく、恐竜や鳥類などの主竜類に近縁だということになる。
2015年7月30日号の Nature ハイライト
地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正
微生物学:微生物バイオフィルム内の持ちつ持たれつの関係
構造生物学:VI型分泌系の構造
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
量子物理学:バルク固体における高次高調波放射
高分子化学:高温誘電体としてのポリマーナノ複合材料
古生物学:カメの進化の複雑さ
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる