Nature ハイライト
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
Nature 523, 7562
Gタンパク質共役受容体(GPCR)として知られる、広範囲にわたって存在するシグナル伝達タンパク質は、主にGタンパク質あるいはアレスチン類を介してシグナル伝達を行っている。現在臨床で使われている薬剤の3分の1の標的はこの種のタンパク質である。今回、アレスチンと結合したGPCRの結晶構造が初めて報告された。活性化前状態のマウス視覚アレスチン1に結合した活性型ヒトロドプシンの構造が、X線結晶学、電子顕微鏡法、パルスEPR分光法と水素重水素交換質量分析法を使って明らかにされたのである。今回得られた構造と、Gタンパク質と結合したβ2ARや、GαCTと結合したロドプシンの構造との比較から、アレスチンを介するシグナル伝達のみを起こすための必須の要素となっている可能性がある独自の構造的特徴が明らかにされた。
2015年7月30日号の Nature ハイライト
地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正
微生物学:微生物バイオフィルム内の持ちつ持たれつの関係
構造生物学:VI型分泌系の構造
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
量子物理学:バルク固体における高次高調波放射
高分子化学:高温誘電体としてのポリマーナノ複合材料
古生物学:カメの進化の複雑さ
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる