Nature ハイライト
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる
Nature 523, 7562
K Zhangたちは、先天性白内障が生じる2つの家系でこの疾病の遺伝的基盤の研究を行い、水晶体に本来的に存在するステロールの一種のラノステロールが、白内障の原因となるさまざまな変異型クリスタリンタンパク質の細胞内での凝集を防止できることを明らかにした。今回の遺伝学的研究で突き止められた変異は、ラノステロール合成を行う酵素であるラノステロールシンターゼの機能を損なうものである。白内障を自然発症するイヌにラノステロールを含む点眼薬を6週間投与すると、白内障の重症度が軽減し、水晶体の透明度が増したことから、ラノステロールや同様の活性を持つ分子が、白内障の治療法として、手術に代わる選択肢になる可能性が出てきた。
2015年7月30日号の Nature ハイライト
地球化学:火山噴火と気候のつながりの再較正
微生物学:微生物バイオフィルム内の持ちつ持たれつの関係
構造生物学:VI型分泌系の構造
構造生物学:アレスチンのGPCRへの結合
量子物理学:バルク固体における高次高調波放射
高分子化学:高温誘電体としてのポリマーナノ複合材料
古生物学:カメの進化の複雑さ
幹細胞:幹細胞のバランスを維持する
植物育種:温暖化する世界のためのイネ品種
視覚障害:ラノステロールで白内障形成を妨げる