Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
Nature 552, 7684
ジスルフィラム(商品名アンタビュース、ノックビン)は、数十年にわたって使われてきたアルコール依存症の治療薬である。J Bartekたちは今回、デンマークの全国的な医療記録に基づく疫学的データを示し、がんと診断された後もジスルフィラムを服用し続けた人は、がん診断時にこの薬剤の服用をやめた人よりも、がんによる死亡率が低いことを報告している。著者たちは、ジスルフィラムがin vitroとin vivoの両方で抗がん作用を有し、その薬剤標的がNPL4タンパク質であることを突き止めた。NPL4は、腫瘍発生を促進するストレス応答経路などのタンパク質の代謝回転に関与する。これらの知見は、ジスルフィラムの抗がん剤への転用が、将来的な治療戦略となる可能性を示唆している。
2017年12月14日号の Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
宇宙物理学:星成長をつかさどる磁気ゲート
生体エネルギー学:デンキウナギの電源を模倣する
材料科学:細胞の接着点に力を加える
地球科学:噴火様式の変化
発生生物学:細胞は多能性を止めて成長する
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
免疫学:Runx3によるT細胞常在性の調節
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす