Nature ハイライト

創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用

Nature 552, 7684

ジスルフィラム(商品名アンタビュース、ノックビン)は、数十年にわたって使われてきたアルコール依存症の治療薬である。J Bartekたちは今回、デンマークの全国的な医療記録に基づく疫学的データを示し、がんと診断された後もジスルフィラムを服用し続けた人は、がん診断時にこの薬剤の服用をやめた人よりも、がんによる死亡率が低いことを報告している。著者たちは、ジスルフィラムがin vitroin vivoの両方で抗がん作用を有し、その薬剤標的がNPL4タンパク質であることを突き止めた。NPL4は、腫瘍発生を促進するストレス応答経路などのタンパク質の代謝回転に関与する。これらの知見は、ジスルフィラムの抗がん剤への転用が、将来的な治療戦略となる可能性を示唆している。

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