Nature ハイライト
材料科学:細胞の接着点に力を加える
Nature 552, 7684
インテグリンに仲介される細胞接着は、多くの生理学的過程や病理学的過程における重要なパラメーターであり、さまざまな用途向けの合成生体材料に対する細胞応答の調節に利用できる。今回、フォーカルアドヒージョンの形成が、細胞外マトリックス(ECM)リガンドの分布と基質の剛性の両方によって調節されることが報告されている。著者たちは、これらのパラメーターによって、アクチンフィラメントを介して結合を引き寄せる細胞内のミオシンモーターから各ECM–インテグリン結合に印加される力の加減が決まることを示唆し、この結合を「分子クラッチ」と呼んでいる。彼らはモデルを提示して、このフォーカルアドヒージョンにインテグリンをさらに集積して新たに分子クラッチを生成することによって、個々の分子クラッチにかかる力を細胞が調節しようとする仕組みを説明している。利用可能なクラッチが最大数生成されても、クラッチ当たりの力が強過ぎれば、フォーカルアドヒージョンは崩壊する。
2017年12月14日号の Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
宇宙物理学:星成長をつかさどる磁気ゲート
生体エネルギー学:デンキウナギの電源を模倣する
材料科学:細胞の接着点に力を加える
地球科学:噴火様式の変化
発生生物学:細胞は多能性を止めて成長する
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
免疫学:Runx3によるT細胞常在性の調節
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす