Nature ハイライト
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
Nature 552, 7684
TRPM(melastatin-related transient receptor potential)イオンチャネルは、TRPスーパーファミリーの中で最大のグループであり、従って体中に広く存在していて、温熱感覚や味覚、イオンの恒常性の調節など、さまざまな生理学的役割を担っている。例えば、TRPM4はCa2+活性化型非選択性チャネルで、脳や心臓などの重要な器官の多くで発現されていて、心臓の拍動、呼吸のペース調整やインスリン分泌に関わっている。今回2つの研究グループが、クライオ(極低温)電子顕微鏡によって得られたTRPM4の構造を報告している。W Lüたちは、Ca2+とデカバナジン酸に結合したヒトTRPM4の構造を解き、傘に似た構造をとっていることを明らかにした。一方、Y JiangたちはマウスのTRPM4について、チャネル活性を阻害するATPと結合した状態と結合していない状態の構造を示した。これらの研究により、TRPMファミリーの構造に関する最初の手掛かりが得られた。
2017年12月14日号の Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
宇宙物理学:星成長をつかさどる磁気ゲート
生体エネルギー学:デンキウナギの電源を模倣する
材料科学:細胞の接着点に力を加える
地球科学:噴火様式の変化
発生生物学:細胞は多能性を止めて成長する
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
免疫学:Runx3によるT細胞常在性の調節
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす