Nature ハイライト
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
Nature 552, 7684
糖尿病を放置すると血管合併症を引き起こすことがある。そうした合併症の1つに糖尿病性網膜症があり、この疾患では網膜の血管細胞が徐々に失われることで血管の漏出や網膜浮腫が生じ、最終的には失明に至る。今回I Flemingたちは、ドコサヘキサエン酸の誘導体である生物活性脂質19,20-ジヒドロキシドコサペンタエン酸(19,20-DHDP)が、この血管疾患の発症に関与することを見いだしている。19,20-DHDPのレベルは糖尿病マウスおよび糖尿病患者の網膜で増加しており、この脂質の産生を阻害すると、糖尿病性網膜症マウスモデルの血管の異常を救済できた。著者たちは、19,20-DHDPの作用の根底にある機構が、細胞間結合に影響を及ぼす血管細胞膜の動態の変化であると示唆している。
2017年12月14日号の Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
宇宙物理学:星成長をつかさどる磁気ゲート
生体エネルギー学:デンキウナギの電源を模倣する
材料科学:細胞の接着点に力を加える
地球科学:噴火様式の変化
発生生物学:細胞は多能性を止めて成長する
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
免疫学:Runx3によるT細胞常在性の調節
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす