Nature ハイライト
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす
Nature 552, 7684
ラパマイシンによるTORC1(target of rapamycin kinase complex 1)の阻害は、動物界全体において寿命を延ばす。TORC1はRNAポリメラーゼIII(Pol III)の活性を厳密に調節している。N Alicたちは今回、Pol IIIがTORC1の下流で機能して、酵母、線虫、ハエの寿命を制限することを示している。Pol IIIの分解を増やすと、培養系で酵母株の経時寿命が延長し、またPol IIIの発現を部分的に阻害すると、線虫やハエの個体寿命が延長した。線虫やハエの成体で寿命延長を達成するには、腸でのPol III活性の阻害だけで十分であった。ハエでは、腸幹細胞特異的なPol III阻害で長寿が達成された。このような長寿表現型は、加齢に伴う腸の病変や機能低下の軽減、タンパク質合成の減少、タンパク質恒常性ストレスに対する抵抗性の上昇に関連していた。
2017年12月14日号の Nature ハイライト
創薬:アルコール依存症治療薬のがんへの転用
構造生物学:TRPMチャネルの構造を見る
宇宙物理学:星成長をつかさどる磁気ゲート
生体エネルギー学:デンキウナギの電源を模倣する
材料科学:細胞の接着点に力を加える
地球科学:噴火様式の変化
発生生物学:細胞は多能性を止めて成長する
血管生物学:糖尿病性網膜症を救済する
免疫学:Runx3によるT細胞常在性の調節
加齢:Pol III阻害が寿命を延ばす