Nature ハイライト
神経生物学:求愛行動に関わる神経回路
Nature 559, 7715
求愛儀式は、近縁種間での生殖障壁の強化に役立つが、これに関わる神経回路基盤はほとんど解析されていない。今回V Rutaたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)とオナジショウジョウバエ(D. simulans)という2種のショウジョウバエの雄がどちらも、雌のキイロショウジョウバエが作るフェロモン(7,11-ヘプタコサジエン)を、保存された末梢感覚ニューロンを介して検知することを示している。しかし、この信号は求愛行動を制御するP1ニューロンへ異なって伝達され、雄のキイロショウジョウバエでは求愛行動が促進されるが、雄のオナジショウジョウバエでは求愛行動が抑制される。これらの結果から、進化が末梢センサーを保存したまま中枢神経回路に働いて、固定された感覚刺激の行動誘意性に豊かな多様性を生み出す仕組みが明らかになった。
2018年7月26日号の Nature ハイライト
化学:ハイレート型リチウムイオン電池向けのニオブ・タングステン酸化物アノード
神経生物学:求愛行動に関わる神経回路
構造生物学:MCUの多様な構造
天文学:2つの星の物語
量子物理学:極低温原子からの物質波の自然放出
DNAナノテクノロジー:DNA折り紙をテンプレートにしてシリカ構造体を作る
古気候学:最終氷期極大期の開始時における氷床形成の詳細
考古学:約200万年前の中国にヒト族がいたことを示す証拠
微生物学:外膜と細胞壁、どちらが硬い?
医学研究:ヒスチジン代謝がメトトレキサートへの感受性を決定する
分子生物学:糖尿病とがんのリスクを結び付ける