Nature ハイライト
構造生物学:MCUの多様な構造
Nature 559, 7715
ミトコンドリアは、ミトコンドリアカルシウム単輸送体(MCU)を介して、環境中から大量のCa2+を取り込む。ヒトのMCUは、中央にCa2+選択性のチャネルを持つ多タンパク質複合体で、ミトコンドリア内膜に存在している。MCUの配列には、他の陽イオンチャネルとの明確な相同性がなく、これまでの構造データからは、ホモ五量体を形成していると考えられていた。今回、菌類のMCUのX線構造とクライオ(極低温)電子顕微鏡構造が3つの研究グループから報告され、他のチャネルとは異なるCa2+透過経路と二回転対称のN末端ドメインを持つホモ四量体であることが明らかになった。報告された構造データと生化学データから、チャネル機能についての手掛かりが得られた。またS Longたちの研究グループはゼブラフィッシュのMCUの低分解能構造も報告しており、このMCUも同様な構造であることが分かった。
2018年7月26日号の Nature ハイライト
化学:ハイレート型リチウムイオン電池向けのニオブ・タングステン酸化物アノード
神経生物学:求愛行動に関わる神経回路
構造生物学:MCUの多様な構造
天文学:2つの星の物語
量子物理学:極低温原子からの物質波の自然放出
DNAナノテクノロジー:DNA折り紙をテンプレートにしてシリカ構造体を作る
古気候学:最終氷期極大期の開始時における氷床形成の詳細
考古学:約200万年前の中国にヒト族がいたことを示す証拠
微生物学:外膜と細胞壁、どちらが硬い?
医学研究:ヒスチジン代謝がメトトレキサートへの感受性を決定する
分子生物学:糖尿病とがんのリスクを結び付ける