Nature ハイライト
分子生物学:糖尿病とがんのリスクを結び付ける
Nature 559, 7715
DNAのメチル化(5mC)とヒドロキシメチル化(5hmC)は、がんで摂動が見られることの多いエピジェネティックな修飾である。5mCから5hmCへの転換は、TETファミリーのジオキシゲナーゼにより触媒され、それらのうちのTET2は腫瘍抑制因子であることが知られている。Y Shiたちは今回、AMP活性化キナーゼ(AMPK)がTET2をリン酸化し、TET2のレベルを安定化することを見いだしている。グルコースレベルの上昇はAMPK活性を妨げ、その結果、TET2の不安定化と5hmCの低下が起こる。AMPK活性化剤である抗糖尿病薬のメトホルミンは、TET2を安定化させ、5hmCのレベルを上昇させる。糖尿病患者の血液細胞で5hmCレベルの低下が見られることから、このシグナル伝達経路は、糖尿病が、がんのリスクの上昇に関連するという観察結果の説明に役立つかもしれない。
2018年7月26日号の Nature ハイライト
化学:ハイレート型リチウムイオン電池向けのニオブ・タングステン酸化物アノード
神経生物学:求愛行動に関わる神経回路
構造生物学:MCUの多様な構造
天文学:2つの星の物語
量子物理学:極低温原子からの物質波の自然放出
DNAナノテクノロジー:DNA折り紙をテンプレートにしてシリカ構造体を作る
古気候学:最終氷期極大期の開始時における氷床形成の詳細
考古学:約200万年前の中国にヒト族がいたことを示す証拠
微生物学:外膜と細胞壁、どちらが硬い?
医学研究:ヒスチジン代謝がメトトレキサートへの感受性を決定する
分子生物学:糖尿病とがんのリスクを結び付ける