Nature ハイライト
生態学:サンゴと広く共生しているアピコンプレクサは進化の過渡期にある
Nature 568, 7750
アピコンプレクサ類は細胞内絶対寄生生物だが、自由生活性の光栄養生物から進化してきた。しかし、寄生生物への移行がどのようにして起こったのかは分かっていない。今回W Kwongたちは、サンゴ組織に共生する微生物としては2番目に多く、世界のサンゴの80%以上で見られるアピコンプレクサの一系統を明らかにし、「corallicolid」と命名した。corallicolidの色素体のゲノム塩基配列には、クロロフィル生合成に関わる遺伝子は保持されているにもかかわらず、光化学系をコードする遺伝子群は失われている。つまりこの色素体は光合成は行えない。クロロフィルについてこれまでに知られている唯一の生物学的役割は光合成(それには光化学系が必要)である。従ってこの結果は、アピコンプレクサであるcorallicolid類は進化上の中間体であり、クロロフィルがこれまで知られていなかった生化学的役割を果たしている可能性を強く示唆している。
2019年4月4日号の Nature ハイライト
微生物遺伝学:腸内細菌ゲノム中の小さな違いが表現型に大きな影響を及ぼす
量子物理学:フェルミオンが媒介する力
ナノスケール材料:二次元半導体とのファンデルワールス接触
量子力学:量子移動時間
分光法:近接場光学による原子レベルの分解能
生物多様性:キリマンジャロ山における生物多様性と生態系機能
神経科学:塩欲求のバランスを取る
神経科学:渇きは腸管からの液体オスモル濃度信号によって調節される
生態学:サンゴと広く共生しているアピコンプレクサは進化の過渡期にある
構造生物学:明らかになったアミノ酸輸送体LAT1の構造