Nature ハイライト
構造生物学:明らかになったアミノ酸輸送体LAT1の構造
Nature 568, 7750
LAT1–4F2hcはヒトアミノ酸輸送体で、大型中性アミノ酸や、L-DOPAのような体内で生じたホルモン前駆体の膜を通過する輸送に関わっている。そのため、この輸送体は細胞増殖や血管新生、またがんにおいて重要な役割を果たしている。LAT1は薬物動態に特に大きな役割を担っていて、がんでの薬剤標的の1つである。今回Q Zhouたちは、LAT1–4F2hc複合体について、単独状態、また阻害剤の2-アミノ-2-ノルボルナンカルボン酸(BCH)もしくはJPH203と複合体を形成した状態のクライオ(極低温)顕微鏡構造を報告している。LAT1は、内向きに開いたコンホメーションをとっていることが分かり、4F2hcとの広範にわたる相互作用が見られ、分子間ジスフィルド結合を介する相互作用も観察された。この研究によって、LAT1–4F2hcの機能に関する手掛かりが得られ、またヘテロ二量体型二次性能動輸送体の構造の一端が初めて明らかになった。
2019年4月4日号の Nature ハイライト
微生物遺伝学:腸内細菌ゲノム中の小さな違いが表現型に大きな影響を及ぼす
量子物理学:フェルミオンが媒介する力
ナノスケール材料:二次元半導体とのファンデルワールス接触
量子力学:量子移動時間
分光法:近接場光学による原子レベルの分解能
生物多様性:キリマンジャロ山における生物多様性と生態系機能
神経科学:塩欲求のバランスを取る
神経科学:渇きは腸管からの液体オスモル濃度信号によって調節される
生態学:サンゴと広く共生しているアピコンプレクサは進化の過渡期にある
構造生物学:明らかになったアミノ酸輸送体LAT1の構造