Nature ハイライト
生体力学:足の胼胝が歩行に役立つ理由
Nature 571, 7764
工業化社会では大半の人々が靴を履いているが、普段靴を履かずに歩いている人は、足裏が肥厚して硬化し、厚い胼胝(たこ)ができる。靴を履くと触覚刺激に対する感度が低下するため、胼胝でも同じことが起きると一般に考えられている。今回D Liebermanたちは、ケニアと米国ボストンで、常に靴を履いている人々と靴を履いていない人々を調べ、胼胝が触覚感度を犠牲にして保護機能を得ているわけではないことを明らかにしている。胼胝のある足が圧力を感じる程度は胼胝のない足と同等で、胼胝のある足が歩行時に地面に当たる際の衝撃は靴を履いている足の場合と同等だが、靴は負荷の割合を低下させるのと引き替えに力積を増大させており、このトレードオフによって関節にかかる全エネルギーは増大する。つまり、我々は靴を使って足を感覚刺激から守り、負荷を調節することによって、裸足で歩くときとは異なる様式で関節に力を伝えていることになり、これは体にさまざまな影響をもたらす可能性がある。ここから得られる教訓は明確だ。クッション性のあるかかとのついた靴を捨てれば、関節と腰はきっと喜んでくれるだろう。
2019年7月11日号の Nature ハイライト
神経科学:老化した脳では炎症が幹細胞機能に影響を及ぼす
免疫学:CD8 T細胞疲弊の調節
遺伝子工学:免疫過程に助けられてジャンプする遺伝子
惑星科学:非効率的だった月の集積
量子物理学:単一の核スピンの検出
物性物理学:磁気単極子の動きを検出する
エネルギー科学:プレーナー型ペロブスカイト太陽電池の安定性の向上
生化学:タンパク質–無機ハイブリッド材料
生体力学:足の胼胝が歩行に役立つ理由
細胞生物学:Smoothenedを介するシグナル伝達