Volume 490 Number 7420

Editorials

科学の国際化が進んでいるが、多くの利点があると同時に限界もあることに注意すべきだ。

Global reach

doi: 10.1038/490309b

米社会保障庁(SSA)が死亡記録へのアクセスを制限したことは、健康分野の長期研究に重大な影響を及ぼす恐れがあり、再考が必要だ。

Life after death

doi: 10.1038/490309a

英政府が計画するアナグマ駆除が科学的証拠を無視しているという批判は的外れだ。

Badger away

doi: 10.1038/490310a

News

森口尚史氏の人工多能性幹(iPS)細胞移植の主張は破綻したが、背景となった臨床応用への過剰な期待と激しい競争を懸念する声も。

Stem-cell fraud hits febrile field

doi: 10.1038/490321a

太陽系から最も近い恒星系に、地球に似た大きさの惑星が存在することが明らかに。

The exoplanet next door

doi: 10.1038/490323a

英国のアナグマ駆除計画が、農家、保護活動家、科学者の間に深刻な亀裂を。

Badger battle erupts in England

doi: 10.1038/490317a

ノーベル化学賞は、Gタンパク質共役受容体の研究で米国のシャプレー氏とロス氏に。

Nobel work boosts drug development

doi: 10.1038/490320a

グラクソ・スミスクライン(GSK)社が、臨床試験の生データを全面的に公開する方針を。

Drug firm to share raw trial data

doi: 10.1038/490322a

南極の海洋生物資源保存計画がいくつも提案されているが、交渉の前途には荒波が。

Antarctic seas in the balance

doi: 10.1038/490324a

社会的イメージが悪く、助成が得られないことが、米国の遺伝子組み換え家畜研究の足かせに。

Politics holds back animal engineers

doi: 10.1038/490318a

News Features

動き回る科学

Science on the move

科学者は研究資金を求めて移動していくのが普通のパターンだが、文化もその流れに影響する。

doi: 10.1038/490326a

科学の緻密な計画

Science mapped out

誰が、どこで、何を研究しているのか、変わりつつある世界の科学研究の現状を特集する。

doi: 10.1038/490325a

News & Views

惑星科学:亜鉛メッキされた月

Planetary science: Galvanized lunacy p.346

月のマグマ性物質は、地球や火星のマグマよりも亜鉛の重い同位体を多く含んでいることがわかった。この結果は、我々が持つ天然の衛星である月の起源について再考を促すものだ。

doi: 10.1038/490346a

がんの治療法:腫瘍が抵抗性獲得のために行う切り替え

Cancer therapy: Tumours switch to resist p.347

腫瘍細胞は、がん化の印であるタンパク質をなくすことで標的免疫細胞療法に対応することがある。このような抵抗性獲得機構を壊滅することは、もっと長く使えるがん治療戦略につながるかもしれない。

doi: 10.1038/nature11489

構造生物学:糖輸送体の構造について得られた手がかり

Structural biology: Bundles of insights into sugar transporters p.348

細菌の糖輸送体ファミリーに属するタンパク質の1つの構造から、ヒト細胞で細胞膜を通過してグルコースを輸送するタンパク質の、ずっと以前から探されていた分子モデルを構築する手がかりが得られた。

doi: 10.1038/490348a

HIV:臨床試験の結果を使ったワクチン設計

HIV: Design by trial p.350

HIVワクチン臨床試験の参加者に感染したウイルスの遺伝学的解析によって、このワクチンはエンベロープ中の特定の部位に変異があるウイルスに対してより高い防御力を示すことが明らかになった。

doi: 10.1038/490350a

分子生物学:タンパク質のお相手選び

Molecular biology: Choose your protein partners p.351

シャペロンタンパク質HSP90が持つ非常に高い分子識別能力が、大規模な研究によって明らかになってきた。HSP90はこうした識別力を持つために、多様な機能を持つ多数のタンパク質と選択的に相互作用することができる。

doi: 10.1038/490351a

生態学:湿地消失の全体像

Ecology: The big picture of marsh loss p.352

景観規模の実験によって、栄養素の過剰な存在が塩性湿地消失の一因となることが明らかになった。これはもっと小規模な実験ではわからなかった結果である。このことは、生態学における大規模・長期研究の有用性をはっきりと示している。

doi: 10.1038/490352a

Articles

細胞:老化したニッチは筋幹細胞の静止状態を妨げる

The aged niche disrupts muscle stem cell quiescence p.355

doi: 10.1038/nature11438

構造生物学:グルコース輸送体GLUT1〜4の細菌ホモログの結晶構造

Crystal structure of a bacterial homologue of glucose transporters GLUT1–4 p.361

doi: 10.1038/nature11524

構造生物学:AMP-PNPが結合したビタミンB12輸送体BtuCD–Fの構造

Structure of AMP-PNP-bound vitamin B12 transporter BtuCD–F p.367

doi: 10.1038/nature11442

Letters

宇宙:超新星1987Aの残骸における44Tiの放射性崩壊からの硬X線輝線

Hard-X-ray emission lines from the decay of 44Ti in the remnant of supernova 1987A p.373

doi: 10.1038/nature11473

宇宙:亜鉛同位体に残った月の起源の証拠

Zinc isotopic evidence for the origin of the Moon p.376

doi: 10.1038/nature11507

量子情報科学:スピンキュービットによる回路量子電磁力学

Circuit quantum electrodynamics with a spin qubit p.380

doi: 10.1038/nature11559

計測:TEMで得たSrTiO3の再構成(001)表面の結合と構造に関する情報

Bonding and structure of a reconstructed (001) surface of SrTiO3 from TEM p.384

doi: 10.1038/nature11563

環境:海岸の富栄養化は塩性湿地喪失の促進要因である

Coastal eutrophication as a driver of salt marsh loss p.388

doi: 10.1038/nature11533

気候:日射量変動の40万年周期の極小期における北極氷床の増加の遅れ

Delayed build-up of Arctic ice sheets during 400,000-year minima in insolation variability p.393

doi: 10.1038/nature11493

神経:in vivoでバレル皮質ニューロンの曲げ方向同調を決める非線型的な樹状突起情報処理

Nonlinear dendritic processing determines angular tuning of barrel cortex neurons in vivo p.397

doi: 10.1038/nature11451

生理:側坐核でのCRFの作用に対する反応は強いストレスによって欲求性から嫌悪性へと切り替わる

Severe stress switches CRF action in the nucleus accumbens from appetitive to aversive p.402

doi: 10.1038/nature11436

発生:雄性の半数体胚性幹細胞から生きたトランスジェニックマウスを作製する

Androgenetic haploid embryonic stem cells produce live transgenic mice p.407

doi: 10.1038/nature11435

医学:黒色腫は炎症誘導性の可逆的脱分化を介してT細胞療法に抵抗性を示す

Melanomas resist T-cell therapy through inflammation-induced reversible dedifferentiation p.412

doi: 10.1038/nature11538

医学:HIV-1ワクチンはEnv V2に遺伝的特徴を持つウイルスに対してより高い効力を持つ

Increased HIV-1 vaccine efficacy against viruses with genetic signatures in Env V2 p.417

doi: 10.1038/nature11519

免疫:FOXO3–IRF7遺伝子調節回路は抗ウイルス応答が引き起こす炎症続発を制限する

A FOXO3–IRF7 gene regulatory circuit limits inflammatory sequelae of antiviral responses p.421

doi: 10.1038/nature11428

医学:VEGF-Bを標的とすることによる、インスリン抵抗性と2型糖尿病の新規治療法

Targeting VEGF-B as a novel treatment for insulin resistance and type 2 diabetes p.426

doi: 10.1038/nature11464

細胞:一分子レベルの分解能で明らかにした、転写共役修復の開始

Initiation of transcription-coupled repair characterized at single-molecule resolution p.431

doi: 10.1038/nature11430

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