Nature ハイライト
生理:ストレスがうつを悪化させる仕組み
Nature 490, 7420
大うつ病の特徴は、環境とやり取りがある状態から、環境に背を向ける「ひきこもり」状態へと移行することだが、強いストレスは大うつ病を悪化させることがある。P Phillipsたちは、このような変化に関係する細胞レベルの仕組みの1つを明らかにしている。彼らはマウスモデルを使って、ストレス応答にかかわる神経ペプチドの1つであるコルチコトロピン放出因子(CRF)は側坐核でのドーパミン放出を増加させるが、急性ストレスにさらされると、放出に対するこうした調節が行われなくなることを見いだした。また、CRF投与に対するマウスの反応がストレスの前後で逆転することも明らかになった。強いストレスは、ストレス性の刺激に対する感情的応答を切り替え、これがストレスが誘発する抑うつ性障害の中心となるのではないかと著者たちは考えている。
2012年10月18日号の Nature ハイライト
細胞:幹細胞ニッチの安定性は加齢に伴い低下する
構造生物学:グルコース輸送体の構造を解明
宇宙:亜鉛によって裏付けられた月形成の巨大衝突説
環境:過剰な栄養が塩性湿地を脅かす
生理:ストレスがうつを悪化させる仕組み
発生:半数体幹細胞のより簡単な作製法
医学:免疫療法に対する黒色腫の抵抗性
医学:HIVワクチンの有効性
免疫:抗ウイルス応答を緩和する
医学:抗糖尿病薬としてのVEGF-B拮抗薬