Volume 572 Number 7771

Editorials

イタリアの新政権は、緊縮財政の終結という公約を果たし、大学や研究機関に対する予算を増額するとともに学問の自律性を守るべきだ。

Memo to Italy’s president: your researchers need you p.563

doi: 10.1038/d41586-019-02560-1

女性や研修過程の若手・中堅職員への支援が改善されなければ罰則を科す可能性がある、とした英国の主要な3つの医学系研究資金分配機関による警告は、驚くべきだが必要な動きである。

Younger scientists need better support p.563

doi: 10.1038/d41586-019-02561-0

News

オーストラリア古代DNAセンターのAlan Cooper所長によるパワパラ行為を体験・目撃した研究者たちが、証言を。

‘Paralysed by anxiety’: researchers speak about life in troubled ancient-DNA lab p.571

doi: 10.1038/d41586-019-02540-5

米国立衛生研究所(NIH)は、国家的なゲノム塩基配列解読プロジェクトの参加者全員に対し、遺伝カウンセリングの実施を決定。

Huge US government study to offer genetic counselling p.573

doi: 10.1038/d41586-019-02509-4

CRISPR技術の応用により、必要に応じて形状が変化して多彩な機能を発揮するスマート材料が。

CRISPR cuts turn gels into biological watchdogs p.574

doi: 10.1038/d41586-019-02542-3

デンマーク・コペンハーゲン大学のテニュア研究者であったIrina Artemieva教授の解任をめぐり、不当性を批判する声や大学制度の評判毀損を憂慮する声が。

Geologist’s sacking prompts outcry p.574

doi: 10.1038/d41586-019-02461-3

ブラジルでは、国家予算削減のために科学技術系学生の奨学金8万件の支払いが停止となる恐れが。

Brazil’s budget cuts threaten more than 80,000 science scholarships p.575

doi: 10.1038/d41586-019-02484-w

News Features

出版:自己引用を監視する

Hundreds of extreme self-citing scientists revealed in new database p.578

データベースの解析から自己引用が極めて多い研究者の存在が明らかになったが、自己引用には倫理的に問題なものとそうでないものがあり、その扱いをめぐって研究者たちが議論を進めている。

doi: 10.1038/d41586-019-02479-7

News & Views

エレクトロニクス:カーボンナノチューブ・マイクロプロセッサーのスケールアップ

Carbon-nanotube computer scaled up p.588

カーボンナノチューブを使った電子デバイスは、シリコン電子デバイスよりエネルギー効率が高くなる可能性があるが、機能が限られている。今回、この限界が克服された。

doi: 10.1038/d41586-019-02519-2

腫瘍生物学:初期のがん転移の隣接細胞を標識する

Cells tagged near an early spread of cancer p.589

遠隔部位へ移動するがん細胞は、移動した場所に隣接する正常細胞が、腫瘍の形成を促進する微小環境を作るのを促す。今回、こうした正常細胞を識別し、転移過程を調べる手段が得られた。

doi: 10.1038/d41586-019-02399-6

関節炎:関節を守る免疫細胞のバリア

Macrophages form a protective cellular barrier in joints p.590

炎症と損傷組織の修復は、マクロファージと呼ばれる免疫細胞によって調節されている。マウスにおいて、マクロファージが関節を損傷から保護する層を作るという今回の知見は、関節炎の治療に影響を及ぼす。

doi: 10.1038/d41586-019-02340-x

物性物理学:ニッケル酸化物に見られる超伝導

Superconductivity seen in a non-magnetic nickel oxide p.592

銅酸化物の超伝導の原因は磁性だけであると考えられていた。今回、こうした銅酸化物に構造がよく似た非磁性化合物において超伝導が見いだされ、この考えに疑問が投げ掛けられた。

doi: 10.1038/d41586-019-02518-3

再生生物学:扁形動物を分裂させるもの

What makes flatworms go to pieces p.593

プラナリアと呼ばれる扁形動物は、自身の断片を分裂させる能力を持ち、その断片が再生して新たな完全個体になる。今回、そうした分裂事象の頻度を調節する分子的合図が明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-019-02376-z

Articles

エレクトロニクス:相補型カーボンナノチューブトランジスターから作られた最新のマイクロプロセッサー

Modern microprocessor built from complementary carbon nanotube transistors p.595

doi: 10.1038/s41586-019-1493-8

腫瘍生物学:転移ニッチの標識から幹細胞の特徴を持つ実質細胞が明らかになった

Metastatic-niche labelling reveals parenchymal cells with stem features p.603

doi: 10.1038/s41586-019-1487-6

生化学:ミトコンドリアに存在するATP感受性カリウムチャネルの確認

Identification of an ATP-sensitive potassium channel in mitochondria p.609

doi: 10.1038/s41586-019-1498-3

代謝:褐色脂肪組織はSLC25A44を介してBCAAを代謝分解することによりエネルギー恒常性を制御する

BCAA catabolism in brown fat controls energy homeostasis through SLC25A44 p.614

doi: 10.1038/s41586-019-1503-x

Letters

光学技術:フェーザー場仮想波動光学を用いる非視線方向撮像

Non-line-of-sight imaging using phasor-field virtual wave optics p.620

doi: 10.1038/s41586-019-1461-3

物性物理学:無限層ニッケル酸化物の超伝導

Superconductivity in an infinite-layer nickelate p.624

doi: 10.1038/s41586-019-1496-5

ナノスケール材料:単一分子接合の熱コンダクタンス

Thermal conductance of single-molecule junctions p.628

doi: 10.1038/s41586-019-1420-z

ナノスケール材料:アニオン交換によって駆動される高分子半導体の高効率分子ドーピング

Efficient molecular doping of polymeric semiconductors driven by anion exchange p.634

doi: 10.1038/s41586-019-1504-9

気候科学:過去40年間の北大西洋の上層ジェット気流におけるシアの増大

Increased shear in the North Atlantic upper-level jet stream over the past four decades p.639

doi: 10.1038/s41586-019-1465-z

地球科学:地球下部マントルの巨大低せん断速度領域を説明できるCaSiO3ペロブスカイトの地震波速度

Seismic velocities of CaSiO3 perovskite can explain LLSVPs in Earth’s lower mantle p.643

doi: 10.1038/s41586-019-1483-x

生態学:気候変動と乱獲が海洋捕食者の体内の神経毒物濃度を増大させる

Climate change and overfishing increase neurotoxicant in marine predators p.648

doi: 10.1038/s41586-019-1468-9

進化学:内温動物の進化において基礎代謝率と体温は本質的に独立していた

The decoupled nature of basal metabolic rate and body temperature in endotherm evolution p.651

doi: 10.1038/s41586-019-1476-9

再生生物学:WntとTGFβは増殖とパターン形成を調整してサイズ依存的挙動を調節する

Wnt and TGFβ coordinate growth and patterning to regulate size-dependent behaviour p.655

doi: 10.1038/s41586-019-1478-7

遺伝学:ヒトの着床のトランスクリプトームとDNAメチロームの全体像の再構成

Reconstituting the transcriptome and DNA methylome landscapes of human implantation p.660

doi: 10.1038/s41586-019-1500-0

微生物学:微生物叢由来のランチビオティクはバンコマイシン耐性腸球菌に対する抵抗性を回復させる

Microbiota-derived lantibiotic restores resistance against vancomycin-resistant Enterococcus p.665

doi: 10.1038/s41586-019-1501-z

関節炎:局所で再生する滑膜常在性マクロファージは関節の保護バリアとなる

Locally renewing resident synovial macrophages provide a protective barrier for the joint p.670

doi: 10.1038/s41586-019-1471-1

分子生物学:治療抵抗性のがん細胞ではBORISがクロマチン調節性相互作用を促進する

BORIS promotes chromatin regulatory interactions in treatment-resistant cancer cells p.676

doi: 10.1038/s41586-019-1472-0

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